バガブンド 40代半ばで日本語教師になろうと思ったわけ ナシオ

40代半ばで日本語教師になろうと思ったわけ

オンライン日本語教師

ひと昔前と違い転職も当たり前になってきた感がある日本社会ですが、未経験の職種に40代から新しく挑戦するということはリスキーなことだと思う方もいるかと思います。さらには「日本語教師」という、あまり知名度の高くない職に就くことは未知なる世界への冒険かもしれません。

今回は、「これから日本語教師になるか迷っている人の背中を押すことが出来ればいいな。」との思いから、私が日本語教師になろうと思った経緯をお話しししてみたいと思います。

最初は自分が語学学習者だった

最初のきっかけは自分自身が語学学習者だったことでした。中南米を旅行中にスペイン語を少し覚えた私は、日本に帰ってきてからオンライン言語学習プラットフォームitalkiを使ってスペイン語を勉強していました。

そのitalkiにはプロの講師とコミュニティーチューターと呼ばれる無資格の講師がいるのですが、私はレッスン料金が安いコミュニティーチューターのレッスンを好んで受講していました。1時間5ドルでレッスンを提供する先生もいたりするので、かなり安く会話のレッスンを受けることが出来るのです。

しかし週に2~3回のスペイン語のレッスンを受けていると毎月それなりの出費です。そしてある日、「自分もコミュニティーチューターとして日本語を教えたら、スペイン語のレッスン代を稼げるんでは?」と思ったのです。当時は別の仕事もしていましたが、自分の好きな時間に日本語教師として働けることが分かったので早速応募してみました。

プロフィールページの記入を済ませ、最後に自己紹介ビデオをアップロードして、審査を待ちました。無事に審査に通った後は、italkiの主催する新人教師のzoomでの講習会(1時間くらいだったかな)に参加し、晴れて日本語コミュニティーチューターとなったわけです。

小遣い稼ぎで日本語を教え始めたものの…

副業感覚ではじめた日本語チューターでしたが、すぐさまこの仕事を甘く見ていたことに気づきます。

チューターを始めた当初、自分が受けていたスペイン語のレッスンで先生がやっていたように、会話の相手をして生徒さんが間違えた所をチャットボックスに書いて教えてあげるというスタイルでレッスンを行っていました。

私は人とお話しすることが好きでしたし、人を笑わせたりすることが好きだったので、レッスン時間のほとんどは楽しく過ぎていきました。

しかし、文法的な説明を求められるとうまく説明が出来ず困ってしまいました。

例えば…

生徒さん:「富士山見えます。」
わたし :「んー。違いますね。富士山見えます。です。」
生徒さん:「先生、、じゃないのはどうしてですか?」
わたし :「…。」

どうですか?分かりますか?日本語教師の方なら説明が出来ると思いますが、そうではない方はどうでしょうか?私はどうしてなのかを説明できませんでした。

このように質問に答えられないことで生徒さんの信頼を失って、それ以降レッスンの予約してもらえないことがありました。日本語が母国語だから簡単に日本語教えられると思っていた甘さを強烈に認識させられました。しかしそれと同時に、自分にスキルがあればこの仕事がもっと楽しくなる気がしたのです。

そして私は自分のスキルを高めるために、日本語教師の資格試験や養成講座を受けることを考え始めたのです。

「社会貢献」のひと言に突き動かされる

日本語コミュニティーチューターという何だか中途半端な状態、さらには当時のメインの仕事にも面白さを感じず将来に不安を感じているとき、たまたま前職の先輩に会いました。お互いの近況報告をしているとき、私が本業の傍ら副業として日本語の家庭教師みたいなことをやっていると先輩に話したところ、「素晴らしい仕事だね!社会貢献だよ、それは!」と返事が返ってきました。

「社会貢献」

これは私にとってとても新鮮な言葉でした。

どんな仕事も社会へ貢献しているとは思いますが、自分自身が今まで仕事を通じて社会貢献してきたかどうかなんて考えたこともありませんでしたし、社会貢献できているとも思っていませんでした。20代は自分のバンド活動のため、30代は旅に出るために働いてきました。言ってしまえば仕事なんてなんでもよかったわけです。

しかし先輩の一言で、「自分のためだけに生きてきた私が社会貢献できるのか⁉ これはすごいことかもしれない。」と思い、私は本格的に日本語教師として生きていくことを考え始めたのです。

こうして私は、420時間日本語教師養成講座を受講することを決めました。

これが自分のやりたい仕事!

本業の傍ら、420時間の日本語教師養成講座を受講しながら、チューターとして生徒さんの日本語会話レッスンの相手をしていると、今までの自分の人生経験がこの日本語教師という職に役立つに違いないと確信を持ちました。

それはなぜかというと、豊富な話題を生徒さんに提供しながら会話のレッスンを進めることが出来る事と、生徒さんが興味を持って私の話を聞いてくれているように思えたからです。

例えば、生徒さんの故郷を私が訪れたことがあったことで話が盛り上がったり、自転車でヨーロッパを旅した話をすれば生徒さんが、「ほんとに⁈ すごい!どんな旅行でしたか?」と食いついてきてくれたりすることがあります。また、バンドでギターを弾いていた経験を話すと、音楽好きな生徒さんたちとの会話が盛り上がったりします。

実はその頃、人生のほとんどをフリータという肩書きで自分の好きなことだけやってきて40代になり、「あちゃー。自分には何もないや。転職回数多いし…。俺、終わってるな…。」と自分に自信が持てずにいたんです。

しかし、何の価値もないと思っていた私の人生経験が何らかの形で日本語教師という仕事に役に立つことが分かり、私は多かれ少なかれ自信を取り戻すことができたのです。自信を取り戻させてくれる仕事に出会うなんてなかなか無いと思います。このユニークな体験から、自分の今までの人生と日本語教師というこれからの私の人生がつながった気がしたんです。

残りの人生、この仕事にかけてみよう

そう決めた私は仕事を辞め、日本語教師という道を歩き始めました。

このようにして私は40代半ばにしてようやく自分がやりたいと思う仕事に出会い、日本語教師になったわけです。まぁ大事なのはこれからなんですけどね!

みなさんが日本語教師になった動機、または目指す理由はなんですか?コメントお待ちしています!

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